電留線

長いものを置く場所です

"好き"を貫き通すということ 〜劇場版シンカリオンに寄せて〜

なんだか少し久々になってしまったブログ記事として色々と書きたいものはありますが、今回はひとつの映画についての話をします。

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こちらの『劇場版 新幹線変形ロボ シンカリオン 未来からきた神速のALFA-X』になります。

シンカリオンというコンテンツはアニメ化前からちらほら追っていたので、念願のアニメになってそれが大ヒットし、そのうえ劇場版にもなって本当に感無量でしたね……。

そんな中で、自分が受け取ったひとつのメッセージに絞ってこの記事としたいと思います。

 

 

まずは軽くあらすじを引用しますか。

突然の敵の攻撃により父・ホクトが行方不明になってしまい、不安を隠せないハヤト。そこに現れたのは、なんと時空を超えてやってきた“9歳のホクト”だった! 光の粒子に包まれてタイムスリップしてきた<少年ホクト>は、地球を守るため、そして元の世界に戻るため、最新技術を結集し完成した「シンカリオン ALFA-X」の運転士になることを決心する。二人の想いとともに、北海道支部・山形支部・大宮支部・名古屋支部・京都支部・門司支部から集結した<チームシンカリオン>は宇宙最強の敵に立ち向かう!*1

今回の記事に必要な部分を要約すると、子供時代の父親と主人公が逢う話です。

 

なぜそこに惹かれたかということの前提として、TVアニメの話を少しします。

この作品のロボットであるシンカリオンには何か"好きなもの"がある子供が使いこなせるという設定があります。だから新幹線が大好きな主人公の"速杉ハヤト"を始めとして、パイロット……いやこの作品の場合は運転士の皆にはそれぞれ様々に好きなものがあり、それに対してひたむきなのです。

そしてハヤトの好きなことに対して真っ直ぐな姿勢に大きな影響を与えていたのが、同じく新幹線が大好きで、それを前面に出してもいた父速杉ホクトと言えるのではないかと思います。何よりシンカリオンの開発のひとつのきっかけになったのが、ホクトの提唱した『超進化速度』の仮説でした。

 

さて今回そんなホクトの少年時代の片鱗が描かれた訳ですが、確かに鉄道が好きなのは変わりませんでした。しかしながら『鉄道が好きなんて子供っぽい』と言われ、また中学受験の勉強があって、その好きを手放しかけていたのです。

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でもそんな彼にハヤトがかけたのは、他ならぬその父自身からかけられた『好きなものは好きなもののままでいい』という言葉。

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それに背中を押された少年ホクトはその"好き"を表に出すようになり、それが回り回って元の年齢の彼を取り戻す決心をし、そのための戦いを乗り越えることにも繋がっていきます。特に後者のシーンでのハヤトの説得がまた良かったので是非に観てほしいです。

 

やっぱり、こういうコンテンツを提供する側から"好きでいること"を肯定されてしまうと弱いですよね。シンカリオンというコンテンツが一番に想定している対象年齢は自分ではないのはわかってはいるんですけど、それでも追い続けることへのエールを受け取ったような気がしてしまいました。

しかもシンカリオンの場合JR各社がかなり協力していて、なんだかんだで鉄道を好きでい続けている自分の場合そちらの方面からも強いインパクトを受けました。というかこっちは本当に子供の時から好きでい続けているものなので、より深い感銘を受けたと言えるかもしれません。

総じて、今好きな、そしてこれから好きになる色々なものを好きでい続けられやすくなったような、そんなメッセージを受け取りました。

 

そして元の鞘に戻すにあたって、こういうものの常として交流したそれ自体の記憶は失われてしまうのですが、それに対しての少年ホクトの答えがまた良かったんですよね。

細かい文面は違うかもしれませんが、『今のこの記憶がなくなるとしても、それが未来で再会することになるならなかったことにはならない』といった感じでした。

確かに記憶自体は失われたけれども何かしらの影響は残り、それが鉄道を"好き"でいられることにつながって、回り回ってハヤトもそのように育ち、シンカリオンの開発にもつながる。そういうことによって未来でまたハヤトや色々なものが好きな運転士たちに出会えた。

 

こういう記憶の話や影響力の話に弱いので、少年ホクトがこれを語りハヤトと別れるシーンは本当に胸を打ちました。

長いこと色々な物語を観たり聞いたり読んだりしてどんなに心を動かされても涙を落としたことはなかったのに、初見でここを観たときはつい落涙してしまいましたね。自分にもまだそのような感性も残っていたのかと少しの驚きもありました。

 

 

最後に、こんな記事を読んでくれる人のことだから、絶対なにか"好きなもの"があると思うんですよね。そんな貴方にオススメの映画です。

この映画だけ観てもある程度の説明はあるので多分大丈夫でしょうし、そういう人にもフックになりやすいように3つ4つほどコラボ案件を抱えているのでそちらが"好き"だからというのでも構いません。

個人的には、初音ミクさんとのコラボキャラである発音ミクのライブシーンの完成度が高すぎてたまげました。安定の【調教すげぇ】Mitchie Mさんサウンドバリバリでしたし……