電留線

長いものを置く場所です

魔法のような未来はイマ目の前に マジカルミライ10th東京公演感想兼セトリ解説(前半)

なんだかものすごく久々になってしまいましたが、ちょっと書いてみたくなったのでやっていきます。

まずはサムネ用写真を

 

はじめに 私とマジカルミライ

まずは手短に私とマジカルミライの関わりでも触れさせていただきましょうか。

もともとボカロは大好きで大体2009年の夏、ミクさん2周年の頃から触れているのですが、基本的にボカロPを元に追っていくタイプでやっていました。その人の新曲が投稿されれば聴く、同人アルバムが出ると聞けばコミケオンリーイベントに参加する、商業アルバムが出れば店舗特典を見比べてはどこで買うか悩む、気が向いたらなんか再生数伸びてるらしい新曲も漁るといった形ですね。どちらかというとP個々人の創作世界を楽しんでいた形です。

逆に言えば、マジカルミライをはじめとしたいわゆる公式系のライブや展示などのイベントには興味が薄く、長いこと行ったことがありませんでした。何か公式系のミクさんを観測することで自身の解釈に揺らぎが生じてしまう気がして。そんな私がある日出逢ってしまったのがこの曲でした。

 

ピノキオピー”さんの『愛されなくても君がいる』、その曲で語られていたのはまさしく“初音ミク”という馴染まれているようで人により捉え方が大きく異なりもする概念への探究でした。そしてこれは何やら“マジカルミライ”という公式系のイベントのテーマソングらしいぞということでまだ売られていたチケットを押さえ、ライブ会場に飛び込んだのでした。ちょうど2年前の12月のことです。

 

そこで得た感情は後程今年の感想と共に語るとしますが、まあ来年もやるなら1公演くらいは参戦しようかなというスタンスが当初のものでした。

しかしながら次回公演のテーマソング担当者の発表に伴い予定は大きく崩れることとなります。そう、私が10年以上にわたりずっと追ってきた最推しを超えてもはやライフワークと言ってもいいくらいのボカロP、cosMo@暴走Pでした。

その結果昨年度は大阪公演1回の東京公演2回で計3回も行くことになり、完全にマジカルミライの虜になってしまいました。まあ知ってる曲の年代がかなり古い方に寄っているので、2020のセトリより2021のセトリの方が適合性が高かったというのも大きいかとは思うのですが。

 

そうして挑んだ今年は、前年度のテーマソングはほぼ確実に披露されるという点はあるものの、所用で大阪遠征は難しいため東京公演の1&3日目に参戦することにしました。

 

改めてこの記事の方針

マジミラ会場でもCMが流れていた通り、アイプラ*1のソシャゲで行っているマジカルミライ合わせの初音ミクコラボが結構出来が良かったのでマジミラもおすすめしたところ配信をみて下さった方がいらっしゃいました。

というわけで今回の記事は千秋楽公演のセトリ解説を軸に感想を挟み込んでいく形でいこうかと思います。日替わり曲のうち1日目のものは後々追加するかもしれません。

アーカイブは9月10日土曜日の16時までなら購入できるので、もしネタバレなしで観たいと思って下さった方がいらっしゃったら以下の3サイトのいずれかをご使用ください。

PIA LIVE STREAM

https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2220383

UP ! ! !

初音ミク「マジカルミライ」10th Anniversary in TOKYO|uP!!!(アップ)

TELASA

見放題 | ドラマ・バラエティ・アニメ・映画・特撮の動画はTELASA(テラサ)

 

開演〜初音ミク曲ゾーン1

3日目はSS席が当たっていたのですが、会場が広いため結構当たり外れが多いというのは把握していました。しかし今回はスクリーン真ん前のブロックかつ前すぎないという、ちょうどいいところを引けて何よりでした。ただでさえ舞台が少し高いところにあるところ、ミクさんたちを投影するスクリーンも今回はそこそこ高さをもって配置されてたので前すぎる席だと大変そうだったので。

 

 

開演前にかかっていたのは、いつも通り公募曲の準グランプリ曲だったでしょうか。

ここで一つ解説すると、マジカルミライに際しては毎年楽曲の公募コンテストが行われ、グランプリに輝いた曲はなんとライブにて演奏されます。ボカロという文化の成り立ちを考えると自然な取り組みではありますが、なかなかない催しではありますね。

piapro.jp

そして今年のグランプリ曲、“せきこみごはん”さんの『Loading Memories』が流れると徐々に緑色のペンライトを点ける人が増え始め、楽曲の音量も上がると多くの人が開演を悟り皆が思い思いに準備を進めていきます。

 

開演前からステージ上にかけられた幕には今回のマジカルミライのロゴが表示されていたのですが、開演とともに過去のマジカルミライを振り返る映像が投影されていきます。自分はそのうち4分の1も体験はしていないのですが、とはいえ特別な始まり方という感じでこれだけの歴史あるイベントなんだなと感じられましたね。

そして映像が終わると幕は落とされて1曲目に。去年はこんな感じの幕に投影するプログラムもあったのでてっきりそれに再利用するのかと思ったのですが、容赦なく落とされて初見は少し驚きましたね、実際再利用されませんでしたし。

 

そして栄えある1曲目は“さつきがてんこもり“さんの『ネクストネスト (Magical Mirai 10th edit)』でした。

マジカルミライには公募曲とは別に、2014年の第2回からは有名なボカロPの書き下ろした公式テーマソングが存在します。先ほどの『愛されなくても君がいる』と『初音天地開闢神話』もそうですね。そして『ネクストネスト』は2014年の、いわば最初のテーマソングでした。

それらのテーマソングは基本的にその年のライブにて披露されているのですが、『ネクストネスト』だけは初の施策だったためかライブでは行ってなかったそうです。そのためマジカルミライ10thリメイクが出たときは、ついにやるのではないかと話題になったものでした。

私もまあどうせやるでしょとは思っていたのですが、最初のテーマソングだからと最初に持ってきてるとは思わず結構驚きましたね。テーマソングはどうせ日替わりになるだろうし、もう少し引っ張ってからだろうと思っていたので。

他の曲はわりかしミクさんたちはどこからか実体化するような演出になっているのですが、この曲だけ舞台下から飛び上がってくるようなエントリーになっていたのも思い出深いです。わりかし落ち着いた曲ではありますが最初はこれぐらいの方がありがたいというのもありますね。ただサビの“ネクスト ネスト”を繰り返す所はコールありでやりたかった気持ちもあります。

続く2曲目は“DECO*27”さんの『ヴァンパイア』。

ここでまた少し解説を、序盤はどうしても多くなってしまいますがご容赦ください。

マジカルミライではイベント開催前に公式アルバムを出しており、そこにはテーマソング並びに公募グランプリ曲のほか出演する各ボーカロイドの曲が大体1曲ずつ収録されています。それらの曲はもちろんライブで披露されるので、無限のボカロ曲からつくられる(と言ってもどうしても有名な曲からにはなりますが)セトリにおける一種の確定ガチャのようなものになります。

そして『ヴァンパイア』は公式アルバム確定曲の初音ミク枠になります。

magicalmirai.com

ミクさんの公式アルバム確定枠はどうも新しめの曲から選ばれがちのようなのですが、選曲時点で知名度が急上昇していてライブ向けのノリの曲となると至極妥当な感じかなと思っていたものの、実際会場に行ってみるとかなりアガりましたね、クラップあり“hey!”あり高速歌唱ありと。歌詞はまあメンがヘラってるいつものDECO*27でしたがそんなのは些細なことですし、それで言ったらこの後に物議を醸しまでしたやつが控えてるので。

つづく3曲目は“和田たけあき(くらげP)”の『ブレス・ユア・ブレス』、2019年のテーマソングだったそうです。

最初にマジカルミライに行った後にテーマソングは一通り聴いて見たのですが、この曲はかなり刺さりましたね。先ほどcosMoが好きと述べましたが、消失ストーリー*2ももちろん好きなのでこういったボーカロイドと人間の決別の話はどうしても加点してしまいがちです。

去年一昨年はやってなかったので、今年初体験できて改めていい曲だなと思いましたね。後ろ向きな歌詞に反してライブ向けにメロディには力強さもあって。ただサビのいかにもコールしろってところができなかったのはやっぱりちょっと残念でしたね、ミクさんの振り付けもこちらにマイクを向けるものになっていただけに余計に。

 

鏡音デュエット→CD確定曲ゾーン→過去テーマソングゾーン2

続いては“ギガ”さんによる『おこちゃま戦争』。

この2人のデュエットはやっぱりセトリに1曲は欲しいですよね。ライブ栄えする曲セレクトもグッドでした。ちなみに日替わり枠で、2日目だけ『すーぱーぬこになれんかった』だったらしいです。

そこからはCD収録曲から4人分、“SLAVE.V-V-R”さん『私の恋はヘルファイア』“香椎モイミ”さん『FLASH』“カンザキイオリ”さん『#心がどっか寂しいんだ』“カラスヤサボウ”さん『天才ロック』と続きました。

ミク以外のCD確定曲は割と年代がバラつきやすいんですが、今回は割と新しめで固まったかなという感じでしたね、どれもライブでいい感じになってたのは流石のチョイスだったかなと。

『私の恋はヘルファイア』はウィスパーがライブだと有効打になりにくい分シャウトが光ってましたし、『FLASH』と『#心がどっか寂しいんだ』はどちらもステージ上部のスクリーンに出す文字の演出が良かったなと。『天才ロック』ももちろんバチバチに決まっていましたね。ちなみに『天才ロック』のカラスヤサボウさんは烏屋茶房という名義もあり、アイプラコラボ曲『Magical Melody』の執筆陣のお一人でもあります。


www.youtube.com

それと、今回バラード枠がレンに回ってたのは結構面白いなと思いましたね、最近ルカさんで固まりつつある所はあったので。まあその分ルカさんはこの後暴れ散らかすことになるのですが。

 

続いてはCDから残るルカさん枠……かと思いきや流れてきたイントロはマジミラテーマソング屈指の問題児にしてターニングポイント、2017年の“ハチ(米津玄師)”による『砂の惑星』でした。

この曲について語り出すと本当に記事が一つ書けるので簡潔にするように努めます。

この曲が出たのは初音ミク10周年ということで、ボカロ曲を書き続けていたPのみならずボカロから離れていたPたちも企業案件をきっかけに色々とここまでの総括のような曲を書いていたのですが、その中で米津玄師として名を挙げていたハチが繰り出してきたのがこの曲でした。また、この曲を境にマジカルミライのテーマソングは初音ミクと人間の関係に切り込むような思索的な曲が増えていったのでした。

上の動画を再生いただければわかるかと思いますが曲調・歌詞・MVの全てにわたりかなり受け止め方に困るタイプの曲でして、自分の中でもまだ決着はついていない形にはなります。それでも、当時はまだマジカルミライのことをよく分かってなかった身ながらも、いつかライブで対面してみたいなとは思っていたのでした。

しかして実際にライブで対面してみると、さすが有名な方がライブ用に書き下ろした曲だけあって動画サイトで聞いた時の落ち着いた印象を保ちながらライブとしてノリやすくもある曲だなと真価を目の当たりにした気がしましたね。『M八七』で米津と和解できていたのも大きかったかもしれません。まあかえって歌詞に対する混迷は増した気もするのですが。

あと、ミクさんの振り付けが色々工夫されていたのも良かったですね、個人的には「空を切るサンダーストーム」のところで稲妻型のフリを入れていたのが印象に残っています。それと『ブレス・ユア・ブレス』といいミクさんの誕生日(8/31)の直後にこの類の曲をやられると効きますね。ただこの曲も所々に混じる「イェーイ」はコールしたかったですね。

さてそこから一転、次に控えていたのは2016年テーマソングにして“みきとP”によるノリノリなナンバー『39みゅーじっく!』でした。

実のところ『砂の惑星』以降のいわば有名Pによる解釈バトル路線のテーマソングを施行しているので、まあその要素はほんの少しだけありつつも突然の和風化など割と茶化しの要素が多いこの曲は実のところそこまで好きではありませんでした。

しかしライブでかかってみるとなんといいますか、ここまで“化ける”かと言った感じがありましたね。突然の和風化の時のフリも直前に超歌舞伎も行っていたのでこれかとなり受け入れやすかったです。

さてそれに続くは2021年テーマソング、“cosMo@暴走P”により紡がれし『初音天地開闢神話』でした。

この曲は本当に思い入れが深いので、後日また別に記事を作るため簡潔に行きます。

今年やるだろうとは思っていたのですが例年の傾向だと前年度のテーマソングは終盤に来ているようなので、待ち焦がれたイントロと共にたくさんの花を見に纏いツインテールの先を瑠璃色に染めたあのミクさんが現れた時はかなり驚きましたね。

そしてまだライブは中盤くらいのはずなのに既にテーマソングを9曲中5曲消費している、ということはすなわち日替わり枠ではなくまさか全部やるのか?という確信が出てきたのもこの辺りでした。

去年と同様に中盤の変拍子パートではサイリウムの対応が難しかったですし実際会場全体がそんな感じでしたが、高速歌唱パートで爆アガれたのでまあいいでしょう。本当に音ゲーで鳴らしているcosMoがパブリックイメージに添いつつ好き勝手やってんなって感じの曲ですよね、それがいいんですが。ただバンドの方々は本当よく演奏できますねこれ。

もう一つ個人的なことを。この曲はテーマソングであるだけでなくcosMoさんの創られる初音ミクをめぐる物語を構成する一曲でもあるのですが、その文脈においてMVにもいる2021ミクさんのツインテールの先っぽの瑠璃色は重要な意味を持ちます。DIVAをプレイされていた方は“∞”のモジュールを思い出していただければ。そのため今回はセカライのペンライトのおかげで紫を振れたのが本当に良かったです。マジカルミライに限らずボカロ系のライブは投影スクリーンに反射してしまう都合上、ペンライトのレギュレーションが厳し目で物販で扱ってるやつぐらいしかまともに使えないんですよね。

 

前半総括

さて、思ったより長くなってきていてアーカイブ購入期限に間に合わない可能性があるのと、動画をいちいち入れている影響で記事が重くなってきてる気がするので一旦ここで切りたいと思います。

アイプラの標榜するアイドル像は泥臭い寄りのもので、実際にコラボで実装されたミクさんもステージに上がれば汗を流します。それに対して現実のライブのミクさんたちは汗ひとつかかず、既にインストールされた声と踊りで我々の前に現れます。この差をどう捉えるかは各人によるかとは思いますが、私はあえてそこに人々を熱狂させるものがあるのならば同じでないかと主張したいです。

それに、本来なら汗を流すのは現実のアイドルのところ、ミクさんの場合は現実のライブだと汗ひとつ流さないのにコラボ先のゲームだとそちらの空気感に引っ張られて汗をかいてみるという、現実と創作のいわば逆転現象が起きているのも面白いですよね。

 

というわけで再三にはなりますがまだ間に合うアーカイブ配信をお願いします!!購入期限は10日土曜日の16時までです!!!

PIA LIVE STREAM

https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2220383

UP ! ! !

初音ミク「マジカルミライ」10th Anniversary in TOKYO|uP!!!(アップ)

TELASA

見放題 | ドラマ・バラエティ・アニメ・映画・特撮の動画はTELASA(テラサ)

 

(9/20追記)

後編はこちらになります、是非お願いいたします。

 

plum-branch-line.hatenablog.jp

 

 

 

*1:IDOLY PRIDEのこと。現在のアニメ環境にて心臓が強カードとなった原因のアイドルコンテンツ

*2:初音ミクの消失”に端を発する、cosMo@暴走P氏による初音ミクに関する思索を物語にしたもの。こちらの再生リストが現状での主たる構成曲なので聴いてほしい。

初音ミクの消失 -Real And Repeat- (THE END OF HATSUNE MIKU) - YouTube